<八高つれづれ草子> 第18回

                             上X国語翁 

【 予餞会 】

言葉は生き物、時代とともに生まれたり消えたりです。

僕らには懐かしい「予餞会」という呼び名もだんだんと少数派になっています。

「予」という字、「餞」という字、それぞれの訓読みはどうでしょう。これはなかなかの難易度。漢字検定なら準1級から2級というところでしょう。これは「予餞会」を八高1年生に説明する際に必要になります。

「予=あらかじめ」「餞=はなむけ」する会、という説明です。卒業式を前に、全校生徒で、卒業式ではやれない形で、笑顔で3年生を送り出す会。「予餞会」という名でこうした送別会をする高校も少なくなっているようです。

わたしたちの八高では今でも3大行事の一つとして生徒会が頑張っています。近年は諸事情あって学校開催となっていますが、八高では長い間、八幡市民会館などのホールを一日貸し切りで、弁当持って、今思えば、かなり派手に贅沢にやっていました。今回の写真には昭和35年のものもあります。予餞会に思い出のある方もいらっしゃるのでは。

八高予餞会は、セレモニー、演劇部公演、吹奏楽部演奏、個人参加の演奏、各部活生の出演など、こちらは変わらないプログラムです。かつてはクラス参加の演劇(僕の初舞台もそれでした)も盛んでした。先生個人の演奏・熱唱もありました。

平成・令和の予餞会に加わったのは、ダンス、漫才、放送部制作ビデオ、「みな歌」や応援団エール、書道パフォーマンスなど。そして3学年職員による演劇はちょっと説明のしようがない特別なもの。3年生は爆笑、出演職員は緊張で血圧・脈拍が爆発、タイヘンです。

いつの予餞会も、最後には全員で校歌を歌いながら、暖かい心地よい気分に包まれます。多くの3年生は国公立の前期試験を終えたばかりで、合否も決まらない時です。実は心の中は不安でいっぱいの予餞会。久しぶりに会う後輩、先生、同級生たちの笑顔に、ダイジョウブ、大丈夫だから、という一日を過ごすのだと思います。

「餞=はなむけ」は、花を手向けることではありません。馬上の旅人となった人の平安を願い、励ましながら手綱を取って、行く先に馬の<鼻向け>をすることです。「さあ行け、出発だよ。元気で、頑張れ。」というメッセージです。八高が出発点となる旅の始まりの記念パーティーです。

高校27期 上掛靖良