<八高つれづれ草子> 第12回   

                        上X国語翁 

【 窓から 清田校舎の秋 】

秋も終わり。

僕は八高での仕事の合間に、清田校舎の四季を気まぐれに撮ってきました。秋の終わりの部をご紹介。

清田校舎の秋で僕が最も気に入ってたのは、文系棟の端っこ、当時の9組10組の廊下側に面したカエデの紅葉です。教室にいても、レトロな木枠の窓(もうないでしょう)の上の方から紅く黄色い光がさします。

特に1年9組あたりの廊下の窓を開けると、いい感じです。

平成7年秋に、学校の正面玄関までバスが乗り入れることとなり、それ以降の(若い?)皆さんは、朝一番にあのあたりを通って「生徒昇降口」に向かった記憶がありませんか。

通用門を上がって右、家庭科室前の2本のメタセコイアも見事に紅葉しました。あの2本が清田校舎で一番ノッポの樹だったと思います。音楽室の窓からはその最上部が目の前にありましたね。

あとは銀杏です。秋ごとに体育館側をまっ黄色に染めました。

教室棟から体育館への階段を降りると、額縁の絵のような黄色が飛び込んできます。体育の授業や部活の前の特別な感じが戻ってくる、なんて方もいませんか。

美術室の窓からの銀杏もなかなかのものです。銀杏のむこうにプール、新体育館、グラウンド、そして部活生の姿。ぼーっと目を遠くにやると美術館の丘、金毘羅山、戸畑・小倉越しの海まで見渡せました。

色んな場所の窓に八高の秋は広がります。

大蔵校舎時代はそれこそ皿倉・河内の自然が間近に迫り、良い秋の風情があったのでしょう。それもまたいくつかの窓越しの記憶におさまっていたりするのでしょうか。

窓には雰囲気があります。そこに見えていたもの、そこから見ていた自分、様々な思いがまとわりつきます。「窓」という言葉にも自然と深さが加わるのでしょう。「同窓会」という特別な日本語の意味もその辺にあるのでしょうね。

                     高校27期 上掛靖良